はじめに
エアコンは夏の暑さを乗り切るうえで欠かせないアイテムですが、適切なメンテナンスを怠ると様々な問題が発生する可能性があります。秋に入るとエアコン内部では湿気やホコリが溜まりやすく、カビの温床となってしまうのです。このカビが冬の暖房時に室内に吹き出されると、健康被害のリスクも高まります。そこで今回は、夏のエアコン使用後の「夏じまい」と、冬の暖房シーズンに向けた準備について解説していきます。
夏じまいの重要性
夏じまいとは、夏の終わりにエアコンの内部を清掃し、次の冬までの長期間にわたって良好な状態を維持することを指します。適切に行わないと、次のような問題が発生する可能性があります。
カビの発生とそのリスク
湿気とホコリが溜まったエアコン内部は、カビが繁殖しやすい環境となります。たとえ目に見えなくても、カビ胞子が空気中に漂っていることがあり、呼吸器系の症状を引き起こすリスクがあります。アレルギー体質の方は特に注意が必要です。
カビが蔓延すると、エアコンから不快なカビ臭いが漂うようになり、運転効率の低下や故障の原因にもなります。夏じまいを行うことで、綺麗な状態を保ち、快適な空間を維持できます。
電気代の増加
夏の間にエアコンにたまったホコリは、熱交換の妨げとなり運転効率を下げてしまいます。その結果、本来より多くの電力を消費することになり、電気代の増加につながります。
フィルターが目詰まりを起こしていると、最大で25%もの効率低下が起こるといわれています。夏じまいの際のフィルター掃除は、省エネ効果が期待できます。
寿命の低下
長期間メンテナンスを怠ると、エアコン本体にも悪影響が及びます。カビやホコリの堆積が熱交換器などの主要部品を劣化させ、寿命を縮める要因となります。夏じまいは、エアコンを長く使い続けるための大切な作業なのです。
夏じまいの手順
ここからは、夏のエアコン使用後に行う夏じまい作業について、具体的な手順を見ていきましょう。
フィルターのお手入れ
エアコン内部に溜まったホコリやダニの死骸は、フィルターを取り外して掃除機でごみを取り除くことが基本です。水洗いも可能な場合は水洗いし、完全に乾かしてからエアコンに戻しましょう。フィルターが汚れていると、風量が低下するだけでなく、熱交換に支障をきたし電気代の増加にもつながります。
目安として2週間に1回程度は掃除を行うことをおすすめします。掃除を怠ると、フィルター交換の目安である半年〜1年で劣化が進行してしまうこともあります。
内部の乾燥
エアコン内部の湿気は、カビの繁殖の原因となります。そのため、湿気を取り除くことが何より重要です。ほとんどのエアコンには「内部クリーン機能」や「送風運転」といった機能が搭載されていますので、これらを活用して内部の乾燥を行いましょう。
内部クリーン機能は、運転停止後にファンを作動させ、内部の湿気を排出します。一方の送風運転は、暖房や冷房モードとは違う風量で運転を続けることで、内部を乾燥させる効果があります。どちらの機能を使っても、しっかりと内部の湿気を取り除くことができます。
本体の拭き掃除
エアコンの本体部分にもホコリが付着していることがあります。目に見えるところは、柔らかい布などで拭き掃除することをおすすめします。エタノールや食器用洗剤をごく薄めた液を使うと、より汚れを落としやすくなります。
部品の隙間には掃除機のノズルを使うと便利です。吹き出し口の汚れは無理に拭かず、細い棒状の物でこすり落とすとよいでしょう。
暖房シーズンに向けた準備
夏じまいをしっかり行っておけば、冬の暖房シーズンに向けた準備も万全です。特に以下の点に注意しましょう。
試運転の実施
暖房シーズンを迎える前に、エアコンの試運転を行うことをおすすめします。暖房モードで数十分運転し、適切に暖まるかを確認します。異常があれば、エラーコードなども確認して専門業者に修理を依頼するのが賢明です。
試運転を行うことで、トラブルの早期発見ができるだけでなく、冬場の急な寒さにも余裕をもって対応できるようになります。
節電対策
昨今のエネルギー高騰を考えると、節電にも気を配る必要があります。最新のエアコンには、以下のような節電機能が搭載されているものもあります。
- 人検知センサー付きの自動運転
- フィルターの自動お掃除機能
- 無線LAN接続によるスマホ遠隔操作
これらの機能を活用すれば、無駄な運転を抑えられるだけでなく、適切なメンテナンスにもつながります。また、窓の断熱対策や風除け設置なども有効な省エネ策です。
プロによるメンテナンス
作業が難しい場合や、確実な安全性が求められる場合は、プロに依頼するのが賢明です。エアコンのメーカーが提供しているプロによるメンテナンスサービスを利用すれば、以下のようなメリットがあります。
- 熟練の技術者による徹底した清掃
- 難しい分解作業の代行
- 傷みの早期発見と適切な部品交換
費用はかかりますが、高い技術力と安全性が期待できるため、長期的に見れば経済的メリットもあるのではないでしょうか。
まとめ
夏のエアコン使用後の「夏じまい」と、冬の暖房に向けた準備は、年間を通して快適な生活環境を維持するためには欠かせません。特に夏じまいでは、内部のカビ発生を防ぐことが何より重要です。フィルターの掃除、内部の乾燥、本体の拭き掃除を行い、カビが繁殖しないよう適切にメンテナンスすることが大切です。
そして冬の暖房シーズンに向けては、試運転の実施、節電対策の検討、必要に応じたプロのメンテナンスなども忘れずに行いましょう。こうしたエアコンの手入れを習慣化することで、長年快適に使い続けられるはずです。