はじめに
夏の暑さが過ぎ去り、秋の訪れを感じる頃になると、エアコンの活躍も控えめになってきます。しかし、冬に向けて準備をしっかりしておかないと、次のシーズンにエアコンを快適に使うことができなくなってしまいます。エアコンの使い終わりの夏は、適切なお手入れの時期なのです。この記事では、エアコンの夏じまいの重要性と、正しいお手入れ方法について詳しく解説していきます。
夏じまいの重要性
夏の間、エアコンはフル稼働して私たちを快適にしてくれました。しかし、その内部には湿気やホコリ、油分が溜まっていて、そのままだとカビの発生源になってしまいます。カビは健康被害の原因にもなるため、夏の終わりにエアコンのお手入れを行うことが非常に重要なのです。
カビの発生を防ぐ
エアコン内部の湿気とホコリが絡み合うと、カビが繁殖しやすい環境ができあがってしまいます。カビは呼吸器系の症状の原因になるだけでなく、アレルギー反応を引き起こすこともあります。このようなリスクを避けるためには、必ずエアコンの夏じまいを行う必要があります。
夏じまいの際には、エアコン内部を徹底的に乾燥させることがカビ対策の鍵となります。暖房運転や送風運転を活用して内部の湿気を飛ばすことで、カビの発生を防げます。また、フィルターのお手入れも欠かせません。汚れたフィルターはカビの温床になるため、こまめな清掃が求められます。
性能の低下を防ぐ
夏じまいを怠ると、ホコリの蓄積によってエアコンの性能が低下してしまいます。フィルターが目詰まりを起こしたり、熱交換器にホコリが付着したりすると、冷暖房効率が下がり、無駄な電気代がかかってしまうのです。
フィルターの掃除に加え、室外機周辺のホコリや落ち葉の除去も忘れずに行いましょう。室外機がホコリで覆われていると、熱交換が適切に行われなくなり、エアコンの効率が著しく低下してしまいます。
故障リスクの軽減
ホコリがエアコン内部に溜まり続けると、機器の故障の原因にもなりかねません。特に夏の終わりから秋の長雨にかけてのカビの繁殖は、故障リスクを高めてしまいます。適切な夏じまいを行うことで、部品の劣化を防ぎ、エアコンを長持ちさせることができるのです。
また、一年に一度は専門業者に点検を依頼することをおすすめします。素人目では見つけられない箇所の汚れもプロであれば発見でき、故障のサインも見逃さずにすみます。定期的なメンテナンスは、エアコンの長寿命化につながります。
夏じまいの具体的な方法
エアコンの夏じまいは、自分でもできる簡単な作業です。しっかりと手順を踏めば、次のシーズンに快適にエアコンを使うことができるでしょう。
フィルターの掃除
フィルターの掃除は、夏じまいの基本中の基本です。フィルターが目詰まりすると、エアコンの冷暖房効率が低下してしまいます。できれば2週間に1回のペースで掃除を行いましょう。
フィルター掃除の手順は以下の通りです。
1. エアコンの電源を切る
2. フィルターを外す
3. フィルターをブラシやハンディ掃除機で汚れを落とす
4. フィルターを水洗いする
5. フィルターを完全に乾かしてから元の位置に取り付ける
汚れがひどい場合は、中性洗剤を使って洗うこともできます。フィルターの掃除を怠ると、ホコリがエアコン内部に入り込んでしまうため、必ず毎回行うようにしましょう。
内部の乾燥運転
エアコン内部の湿気を飛ばし、カビの発生を防ぐためには、乾燥運転が効果的です。暖房運転や送風運転モードを1~2時間ほど使うことで、内部の湿気を取り除くことができます。
乾燥運転の手順は以下のとおりです。
1. エアコンのリモコンで運転モードを「暖房」または「送風」に設定する
2. 温度設定を最高温度(30℃前後)にする
3. 1~2時間運転し続ける
4. 運転終了後、フィルターを外し、完全に乾かす
メーカーによっては内部クリーン機能があり、自動で乾燥運転を行ってくれるモデルもあります。こうした機能を活用すれば、手間なく内部の湿気を取り除くことができます。
本体の拭き掃除
エアコン本体の拭き掃除も忘れずに行いましょう。本体上部は特にホコリがたまりやすく、そのまま放置するとカビの温床になってしまいます。
拭き掃除の手順は以下の通りです。
1. 中性洗剤を薄めた水溶液をラップなどに含ませる
2. 本体上部を丁寧に拭く
3. 乾いた布で水分をしっかりと拭き取る
室外機周辺のホコリや落ち葉の除去も念入りに行うことが大切です。庭木の落ち葉で覆われていると、室外機の冷却効率が落ちてしまいます。
クリーニングサービスの活用
自分で行うお手入れに加えて、プロのクリーニングサービスを利用するのもおすすめです。クリーニング業者であれば、一般家庭では手が届かない部分までエアコンの内部を徹底的に掃除してくれます。
クリーニングサービスの利点
クリーニングサービスを利用すれば、以下のようなメリットがあります。
- 熟練の技術者が細部までしっかりと掃除してくれる
- 専用の強力な洗浄液を使って汚れを落とす
- 熱交換器の掃除まで行ってくれる
- プロの目で故障の予兆を発見してくれる
DIYで行うお手入れでは見逃しがちな箇所も、プロであればきちんと掃除してくれます。たとえば、ドレンパイプの詰まりなどは素人目では見つけにくいものですが、クリーニング業者であれば的確に発見して対処してくれるのです。
費用と頻度について
クリーニングサービスの費用は、業者や掃除の範囲によって異なりますが、一般的には1万円前後となっています。少し高額に感じるかもしれませんが、エアコンの性能を長く保ち、無駄な電気代を抑えられると考えると、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
クリーニング業者によっては、定期的なメンテナンスプランを用意しているところもあります。年に1回の掃除を固定料金で受けられるため、手間がかからずに済みます。頻度としては、1年に1回のペースが目安となります。
省エネ対策としての夏じまい
夏じまいを行うと、単にカビ対策やエアコンの長寿命化につながるだけでなく、省エネにも一役買ってくれます。エアコンが最大の性能を発揮できるようになれば、無駄な電力消費を抑えられるのです。
適切な温度設定
エアコンのお手入れに加えて、適切な温度設定を心がけることも省エネには重要です。例えば、冷房時には28℃程度に設定すると、より省エネになります。また、就寝時の間は温度を少し高めに設定するなど、工夫の余地は多くあります。
温度設定を少し高めに保っても、サーキュレーターや扇風機を併用すれば、快適に過ごせます。エアコンと他の冷房機器を組み合わせて使うのが、省エネにもつながるのです。
節電モードの活用
最新のエアコンには、節電モードが搭載されているものも多くあります。節電モードを使えば、消費電力を最大で50%も抑えることができます。快適性は少し損なわれますが、電気代の節約には大きく貢献します。
また、人感センサー付きのモデルであれば、人がいない部屋では自動的に節電運転に切り替わるため、無駄な電力消費を避けられます。夏じまいを行ったエアコンであれば、そうした機能を存分に活用できるはずです。
まとめ
エアコンの夏じまいは、お手入れを怠ると大きなリスクを伴うため、とても重要な作業なのです。カビの発生や性能の低下、故障のリスクを避けるためにも、夏の終わりには必ず夏じまいを行うようにしましょう。
具体的な方法としては、フィルターの掃除、内部の乾燥運転、本体の拭き掃除などが基本となります。また、プロのクリーニングサービスを活用すれば、より徹底した掃除ができます。お手入れを行うことで、省エネにもつながるというメリットもあります。
手順に従って確実に夏じまいを行えば、次のシーズンにエアコンを快適に使えるようになるはずです。夏の終わりがエアコンの一年の区切りだと考え、大切にお手入れを行いましょう。